1. 西洋哲学倫理学史
  2. 諸特殊哲学
  3. 倫理学
  4. 美学美術史学
  5. 社会学
  6. 社会心理学
    (およびコミュニケーション研究)
  7. 文化人類学
  8. 日本研究(民俗学)
  9. 心理学
  10. 教育学
  11. 人間科学

V. 音楽学

慶應義塾大学において音楽学を学ぶ環境は,あくまで国内他大学との比較においてではあるが,かなり充実している.それは遠山音楽文庫の存在と電子媒体による文献検索への対応に最大の特徴とメリットがある.ただし,文献はキャンパス内に散在しており,効率的に検索するには若干の習熟が必要とされる.そのために,「美学美術史学演習」,「音楽学Ⅱ」(水曜,木曜開講)では,文献の種類と利用方法についてのガイダンスと実習をおこなっている.特に後者においては,電子媒体を利用した検索の最先端のテクニックの実習もおこなわれている(学生はあらかじめ計算センターに登録,個人のアカウントをもっていることが望ましい).

音楽関係の文献はどこにあるか

音楽事典:世界の主要な音楽事典類は遠山音楽文庫(旧館3階)に揃っている.新館地下1階には内外の代表的な音楽事典が置かれている.

目録類:遠山音楽文庫には作曲家の作品目録,外国の図書館等の所蔵目録,出版目録,欧米で出版された記事,研究書,あるいは大学に提出された博士論文などの目録が可能なかぎり集められている.主要な国で刊行されている楽譜の目録もある.

楽譜:基本となる楽譜,つまり作曲家ごとの全集,あるテーマで体系的に集められ一定の方針のもとで校訂された楽譜(デンクメーラーとよばれることもある)は遠山音楽文庫に集められている.ただし古典派の作曲家の新しい全集は新館にある.20世紀音楽の楽譜は遠山音楽文庫にある.同文庫には,作曲家の自筆楽譜,初版等の印刷楽譜のファクシミリ(精巧な原寸大の写真複製)版のコレクションが含まれている.また世界の主要図書館が所蔵する資料をマイクロフィルムにより見ることができる(プリンターもある).ほかに数は少ないが鑑賞などに役立つ実用版の楽譜が新館に所蔵されている.実用版は新館(AEに分類)にある.

雑誌:研究を集めた逐次刊行物(学会誌など)は,世界の代表的なものが主に遠山音楽文庫に収蔵されている.一部は新館の雑誌室にある.日本音楽学会の機関誌「音楽学」は遠山に,「音楽芸術」(現在は休刊中)は雑誌室にある.

書籍:遠山音楽文庫には,西洋の中世からバロックにかけて,および20世紀の音楽に関する文献が収められている.また楽器学,音楽研究全般にわたる文献,研究論文集,そのほか作曲家研究の文献が集められている.

レコード:約6000枚のレコードが遠山音楽文庫にある.コレクションの主体は,西洋の中世からバロック,そして20世紀の音楽であり,同じフロアで聴くことができる.カセット等へのダビングのサービスや貸出は行っていない.代表的な楽曲のCD,DVDもやはり旧館3階にそろっている.

どのようにして探すか

役立つ文献は,そのもの自体が慶應にあるかいなかは別にして,世界のどこでいつ,どのような形で出版,販売ないし公開されているかは,ほとんどの場合図書館内で調べられる.

カード:遠山音楽文庫に備え付けのカード・ボックスは,学内の音楽文献が総合的に検索できるようになっている.つまり遠山音楽文庫所蔵の音楽文献だけでなく,小泉文庫,新館所蔵の文献などのカードも一緒に収められている.

OPAC:OPACによる検索は,新館でも遠山音楽文庫でもできる.ただ現状ではすべての文献情報が入っているわけではない.現在,コンピュータ化される以前に購入された文献についてもさかのぼってデータを入れる(遡及入力という)作業をすすめている.したがって現時点では,遠山音楽文庫のカードとOPACの併用が必要である.

インターネット:外国の大学図書館の所蔵資料をインターネット上で公開している例が急増している.リンクやサーチ・エンジンをうまく利用するとよい.主要サイトを紹介した書籍もあるがすぐに陳腐化してしまう.

CD-ROM:目録類のCD-ROMが急増中できわめて有効.RISMなど順次備え付けられる.

RILM:国際版と国内版があり,世界の音楽文献目録が作成,提供されている.冊子体のものは図書館にあるが,インターネット上で検索可能(http://www.mita.lib.keio.ac.jp/dbnavi/list.php).
国内版は冊子体で,題名は『音楽文献目録』(音楽文献目録委員会編).

Naxos Music Library:クラシック音楽を中心としたオンライン・コレクションで、Naxosをはじめとする44レーベルの音源をストリーミング再生することができる.曲目や作曲家の検索にも利用可能.音楽之友社『新編音楽中辞典』も含まれる.

慶應にないときどうするか

他大学等の図書館 所蔵しているかを確認して閲覧にでかける.紹介状は図書館レファレンス・カウンターに相談.外国の図書館にはコピーを依頼するが,時間と費用は覚悟する.

公開の音楽図書館 東京文化会館音楽資料室,民音音楽資料館は使いやすい.だが音楽の専門研究のための図書館ではないので,収書の方針が違う.民音は日本語による文献は網羅的に集めている.録音資料も充実している.

(0) 音楽事典

すべてはここからスタートする.英語版は新館,遠山音楽文庫にあるが,日本語版も備え付けられている.日本語版の別巻の「参考文献」には英語版にはない日本語の文献も示され大変に便利.なお,英語版の第2版が2001年に刊行されたので,今後はそちらも参照する必要がある.

(1) 全集・叢書・講座

(2) 概論・総論・方法論・理論史

(3) 通史

譜例集

国別通史

ジャンル別通史

(4) 時代別各論・他

(5) デジタル情報源

現在,コンピュータを用いた情報検索は日常的なものとなり,塾内外を問わず盛んに行われている.しかし,インターネット上のすべてのデータが等しく有効性を持っているわけではない.だから,その利用(特に研究利用)に際してはデータ及びリソースの充分な選定が必要となる.ここでは音楽学研究に有用なウェブサイトを紹介する.

ウェブサイト

*ウェブサイトは予告なく改変・異動・閉鎖することがあるので注意する.