1. 西洋哲学倫理学史
  2. 諸特殊哲学
  3. 倫理学
  4. 美学美術史学
  5. 社会学
  6. 社会心理学
    (およびコミュニケーション研究)
  7. 文化人類学
  8. 日本研究(民俗学)
  9. 心理学
  10. 教育学
  11. 人間科学

III. 美術史学(日本/東洋)

(1) 全集・叢書・講座

全集(美術全般)

6.は内容が新しく研究論文も充実,年表・用語解説等も丁寧で使いやすい.7.は海外の美術館等が所蔵する日本美術作品を絵画・彫刻等の部門別に収録.10.は,カラー図版も豊富であり,解説・研究論文等も充実している.作品データも豊富.12.13.は中国・韓国それぞれの美術作品を幅広く収録し,図版も充実している.

全集(分野別)

入門書(叢書・講座等)

4.は絵画・彫刻・建築・工芸等を時代別・分野別等に分類,編集された月刊誌(近年は細分化の傾向)で,初期のものは入門書として使いやすい.5.は専門用語等の解説が充実.7,8.9.は簡便適確にまとめられた概説書シリーズ.日本美術史関係では他に『浮世絵の歴史』,『日本やきもの史』,『日本建築様式史』等がある.10.は,日本絵画史上の重要作品に関する最新の研究を初学者にも解りやすく解説.15.は著名な古筆切の図版を収載し,解説を付したもの.17.は初学者必携の豊富な用語集.19.は現時点における日本美術史研究の状況を知る上に便利。

資料集等

1.は制作年代が明記される作品の賛文,奥書,銘記等の翻刻と写真を載せる基本史料.4.及び5.は平安時代彫刻作品の在銘作品・重要作品をそれぞれ収録し解説を加えたもので,関連の文献資料や図版・年表等も充実しており平安彫刻史の研究には必須.8.は活字化されて見やすい美術史関連の資料の寺院編である.図なども挿入されており,各資料解題を付す.

寺院別美術図録

1.から5及び18.は奈良・京都の大寺院の歴史と各寺院の所蔵する美術作品について総合的な考察を行ったもので,解説が充実し図版・文献史料も豊富で基本文献である.6.は主要寺院を地域別に収録しその所蔵品について解説を加えたもの.10.は法隆寺献納宝物(仏像)に関する最新の研究成果が反映されており,内容も充実.

(2) 概論,総論

1.は近代までのあらゆる美術を広く考察し,日本美術の持つ特質を考究した初の大著である.6.問いに対する答えの形で,日本美術の流れを昭和に至るまで追うもの.9.中国美術と日本美術の比較をし,日本美術の「日本的なもの」とは何かを問い直す刺激的な著作,初学者にも読みやすい,

(3) 通史

9.先史時代から明治以降に至るまで包括的に美術の流れを追うもの.図版も多く美術史の通史を捉えるのに便利.12.数世紀単位で美術の流れをテーマ別に追ってゆく形を取る.執筆者の見解が盛られているのが特色.10.は縄文時代から現代のアニメ作品までをわかりやすく通観した入門書。17.は図版・図解が充実.時代を追い,その代表作例も挙げてあり分かりやすい.22.は中国漢代から明末時代まで述べられている絵画史の研究書.ときに画論等も引用され,それも和訳されており,中国絵画の流れを包括的に追った大著.

論文集

以上の論文集は,それぞれ各分野における第一線の研究成果が反映されており,入門段階をこえ,さらに研究を進める上で是非読み進められたい.

(4) 時代別各論

絵画

1 古代~中世

入門書としては,ここで挙げたものと「鑑賞基礎知識シリーズ」,『日本の美術』(ともに至文堂刊)を適宜併用してほしい.また,“論集”や“研究書”には,過去に発表された主要な雑誌論文が収録されていることが多いので,作品研究で論文をさがす際は著者名をもとにこのような文献に目を通すことも有効である.なお,各項目は,説明を付す上で便宜的に分類した.

〈通史〉

1.は,〈やまと絵〉〈仏画〉〈水墨画〉などにわたる絵画論・作品各論を収録した論文集.個別作品の主要文献も収録されている.2.は,近年明らかになった鎌倉~室町時代の,寺院伝来の絵画関係新資料のうち,重要作例を全カラーで紹介し,関係論文・作品解説・展覧会記事などを記している.

〈やまと絵〉

日本絵画史に於ける重要なテーマとして,日本的な主題を描いた〈やまと絵〉と中国的な主題を描いた〈唐絵〉との問題がある.1.は,〈やまと絵〉と〈唐絵〉の概念からはじまり,様式研究,作品各論へと展開する.2.は,平安時代12世紀に制作されたといわれる「源氏物語絵巻」の成立過程を明らかにする平安絵画の入門的な書.3.は,やまと絵研究の基礎資料を載せた基本文献.4.は,平安~鎌倉時代の絵巻各論を中心とした研究書.5.は,大著の専門書だが,この分野の基本文献.6.は,奈良時代絵画を研究する上で重要な正倉院の絵画を図版入りでまとめた書.

〈障屏画〉
〈絵巻物〉

1~3.は,絵巻の概論を中心とし,絵巻を研究する上での基礎的な事項を学べる初学者向きの書.4.は各絵巻の解説・基本データを載せた絵巻の事典.6~9.は,作品研究中心の論文集.6.8.は,絵巻研究の重要な論文を収載している研究書であるから,入門書の後に読み進めると良い.15.は,主要な社寺縁起絵の写真・解説・基本データなどを載せる社寺縁起絵研究には必須の基本文献.17.は,北野天神縁起絵研究の主要文献.

〈肖像画〉

1.2.は,主要な肖像画の解説を含む入門的な書.3.4.を通読することで古代から近世までの肖像画に関する問題を知ることができる.初学者から研究者まで利用できる.7.は伝源頼朝像をめぐって多角的に考察した絶好の美術史学入門書、読み物としても面白い。

〈仏画・神道絵画〉

1. は,大型図版であり,収載される概説は,「仏画とは何か」からはじまり,初学者にも分かりやすい入門的な書.2.は,数少ない神道美術関係の基本文献.8.は,図版で主要な仏画を確認する際に有効.12~20.は,作品の各論からなる論文集ではなく,それぞれの分野の総括的な研究書.入門書の後に読むと良いだろう.

2 個別作品研究

以下には,各分野の個別作品研究の主要文献を挙げる.これらは,主に調査報告書に近い詳細なデータや写真を収載し,併せて解説・研究論文を載せている.専門書であるため特定の作品研究の際に,用いることが多い.

〈障壁画〉
〈曼荼羅〉

2.は,国宝「高雄曼荼羅」の現時点における最高の研究書.6.は,図版と解説がある他,研究論文を載せる.初学者にも利用しやすい.

〈水墨画〉

1.は,初学者から読める研究書.2.3.は,主要な室町水墨画を図版と解説で確認できる.そのなかで2.は,禅宗寺院を中心に制作された水墨画の図版で,作品解説に,讃文の翻刻・解説が付されている.7.は,研究論文集で基本文献.

〈絵師・作画機関〉

おおよそ南北朝時代までの絵画では,制作者名が知られる例は極端に少ない.この様な現状で,各資料を用いながら,制作者としての絵師・絵仏師の職制・活動と彼らが属した作画機関に関する研究をまとめたものを挙げた.史料などを用いた文献による研究が中心である.

1.2.は,個々人の絵師をとり上げ,その経歴・活動記録・逸話などから絵師像を語っていく.入門的な書.3~5.は,専門的研究書.3は,朝廷直属の作画機関,「絵所」とそこに所属する「絵師」の活動の諸相を古代から室町時代頃まで研究した基本文献.4.は,史料編と研究編からなる絵仏師研究の基本文献.5.は,作品論を中心とした基本文献で,4.と5.は一連の研究書.

〈装丁・彩色〉

3 近世~近代

〈概論〉

1.2.は近世絵画の代表的な作品や作家の概要を知るための手引書.3.は作品研究を行なうために参考となる文献として手頃である.さらに深く近世の通史を概観する場合は,4~6.を参照のこと.

〈障壁画〉

障壁画・障屏画についてはまず『日本屏風絵集成』(講談社)および『障壁画全集』(美術出版社)を参照することが望ましい.前者は画題別に分冊され,上代から近世まで網羅的に障屏画を概観できる.後者は当院別の分冊となり,著名寺院の障壁画はこれで知ることができる.各論については上記1~11.を参照すること.

〈文人画〉

1~2.は,画家の生き方と作品との接点を探りながら,文人画の流れを知りたい人の為の入門書.3.は,彭城百川や 園南海といった初期の南画家に焦点を当てた最初の書.4.は,落款,印章等の写真が豊富に収録されている図録.5~13.は,それぞれの作家研究をする上で基準となる作品で網羅され,著者自身の見解が明確に書された研究書.14~16.は,文人画家が旅や交友の過程で生み出した記念すべき画帖が詳細に解説された全集.

〈狩野派〉

狩野派,江戸時代

1.は,江戸絵画史の概説では,内容は古いが構成は的確である.2.は,日本近世の画家とその作品に関する研究八十二 を選択,収録したもので,狩野派,長谷川派,近世諸派を網羅している.3.は,絵画,彫刻,工芸,建築,書の7つの分野を概観でき.4.は,伊藤若沖,曽我蕭白など強烈な個性の画家を再評価した斬新かつ体系的な研究書である.5.は,江戸時代に活躍した主要な画家に焦点を合わせ,文学と絵画の密接な関係や画家独自の描法を丁寧に説いた入門書.6.は,寛永期風俗画,鈴木春信など江戸期に渡る論考を斬新な視点でまとめた研究書.7.は,狩野派の主要作品を収録し,詳細な解説がある画家.8.は,初期狩野派,狩野派の研究のために一指標として,さらには戦国から桃山にいたる時代の文化史的状況を考察するための一資料.9.は,狩野派の成立,展開,変容を,史実と作品とを絡めて纒め上げた通史.

〈浮世絵〉

1,2は通史を概観する上で入門書となる.3~9は作家別の研究書.10~12は版本に関する文献.また画題・技法を学ぶためには『浮世絵の鑑賞基礎知識』が入門書として手頃.なお、事典は『原色浮世絵大百科事典』が最も情報量が豊富で最適である.

〈その他(円山四条派,洋風画派など)〉

1~3は作家研究.4~8はテーマ別の論集.様々な視点を知る上でも参考となる.

〈近代〉

1.は通史を概観できる入門書.2.は作品・作家の概要を知るのに役立つ.3.は主題別に問題を捉える文献として手頃である.4~11.はその他,通史について参照されたい.また12.は当時の日本美術の概念を知る上で参考になる.

彫刻

〈時代別〉

1.は古代小金銅仏の銘文について解説を施したもので,写真資料も豊富.5.は天平以前彫刻様式について著者の見解をもとに法隆寺に伝来する作品を中心に論じた基本書の一つ.10.は平安初期彫刻を乾漆系と木彫系に分類し木彫像の発生について論じたもので,幅広く作品をとりあげ図版も充実している.14.は鎌倉時代院派仏師の研究を中心に中世彫刻史を論じたもの.18.は神道彫刻作品のほとんど唯一の体系的研究書.

〈技法・素材〉

4.は法隆寺塔本塑像における須弥山表現の源流と,塑像の技法・様式に関する初の本格的研究書.6.は東大寺大仏のグループ調査をもとに,その歴史・構造等に関する総合的な資料を集成し,考察を加えたもの.

〈仏師研究〉

2.は,個々の仏師の事績に関する研究の基本書.4.文献的考察に基づく古代仏師の研究.9.は鎌倉時代の仏師快慶について論じられた古典的な著作.鎌倉時代の仏師研究の基本文献として推薦できる.

〈地域別〉

工芸

工芸と一口に言っても,その領域は多岐にわたり,ここに挙げられているのはほんの一例にすぎない.「鑑賞基礎知識」シリーズ(123頁入門書5),の工芸に関するものでは,作品の材質・技法・意匠や時代・地域による作品の特質,また制作工程などが詳細に解説されている.各分野の通史を押さえるための入門書として最適である.

〈工芸全史〉

2.は入門書的な著作で,読みやすい文献.

〈正倉院〉

1~10.は,いずれも図版・作品解説が中心となっている.11.楽器・楽舞・楽舞装束・遊戯具について,12.荘厳具・供養具・僧具・儀式具について収載.2冊とも,ごく一部を除いて全てカラー図版.図版解説・本文(論文編)・用語解説は英文をつける.

〈金工〉

通史的なものとしては1と3があるが,5はカラー図版と個々の作品解説が中心となる.梵鐘に関しては6~9の4冊が挙げられるが,入門書としては7が分かりやすく簡潔にまとまっている.6・8・9は時代・地域ごとにまとめられた論文と紹介.

〈漆工〉

5.は日本・東洋の漆芸史の中で重要な部分を取り上げて詳細に論じられているので,漆芸史のおおまかな流れをとらえるのに役立つ.日本の漆芸品に関して,技法ごとに通史を追うならば6.が図版・解説共に豊富であるが,図版集等は近年新たに出版されているので,そちらも合わせて参照するのがよいであろう.7.は明治以降の作家別にとり挙げた図版集.

〈陶磁器〉

陶磁史全体を把握するためのものとしては,1.の全集の他に矢部良明『日本陶磁の一万二千年 渡来の技独創の美』平凡社,1994.等が挙げられる.

〈武器武具〉

3.は武器武具全体の作品解説が中心.2.は刀剣の,4.は甲胄の重要な作例を押さえながら,全体の流れを知るのに役立つ.

〈染織〉

1.は通史的内容,2.は中宮寺蔵繍帳に関する研究の集大成.3.は図版と解説から成る基本の図録.

書跡

考古

建築

〈全般〉

〈仏教建築〉
〈庭園等〉
〈その他〉

東洋

1 中国

〈通史・概説〉

1.は戦前の中国全域に及ぶ貴重な記録と写真図版から成る.中国,朝鮮美術史の流れを理解するには松原三郎『改訂東洋美術史』(東京美術),鈴木敬・松原三郎『東洋美術史要説下巻 中国・朝鮮』(名著出版)が適当である.2~7.は中国美術の主要な作品の図版の大部分を確認することができ,解説もあり,全容を捉える上で役に立つ.さらに特定の時代,分野に関して深く学びたい者は『世界美術大全集東洋編』1-9巻(小学館)を参照することが望ましい.8.は中国美術史の通史が理解しやすい入門書.10.は時代別各論を進める上での基本文献である.11~13.は各論.

〈絵画〉

1.は中国絵画史の概説や主題,筆法について簡潔かつ丁寧に解説があり,入門書として適当である.2.は作品の記述が細かく論理性のある質の高い論文集であり,初学者を含め中国絵画史を考える上で役立つ.3~7.は各論.3.は元代,4.は明代中期の絵画の理解に適当な文献で,初学者から研究者まで利用できる.5.は版画の通史をおさえた基本文献.6.は中国の山水画を考察する上で役立つ.7.は各論,8.は明代までの絵画について詳細に通史を論じた大著,共に研究者向きである.9~22.は主要な図版.研究の目的に合わせて参照されたい.9.11~13.の四冊で世界の中国絵画作品がほぼおさえられる.19~22.は画論が収載されている.19.は明代絵画を研究する者には必携の文献.

〈彫刻・金石等〉

1.中国の代表的石窟である,雲崗・龍門石窟研究の入門書として最適.分かりやすい記述で石窟の魅力を情熱的に記述.6.日中両国の研究者が敦煌莫高窟からキジル,クムトラ,鞏県石窟に渡り,カラー図版,詳細な図解と共に論ずる.8.北魏代から隋唐五代に至るまで単独の石像や金銅仏を中心に銘文の考察などを加え,考究する.20.敦煌画に関する初の本格的研究書であり,古典的名著である.

〈工芸〉

1.は140頁〈漆工〉5.参照.4.は主要な工芸作品の図版が収載されており,解説と参照するとよい.6.は地中海東岸以東各地から中国,朝鮮,日本のガラスの図録.9~13.は故宮博物院の主要な作品図録.

〈陶磁〉

1.は中国陶磁の通史の理解に役立つ入門書.2.は貿易陶磁の面からとらえた入門書.3.は清代のヨーロッパ宣教師が景徳鎮で記した文献に解釈を加えたもので,外国人による異なる視点が参考となる.4~6.は作品の確認に適当な図録.7.は清の人による文献に解釈が加えられている.8.は清朝の文献で研究者向きである.

〈建築・その他〉

2 朝鮮

〈通史・概説〉

1.と2.は朝鮮半島の美術史の流れが分かる概説書.1.は特に分野,時代別に整理された好著で,通史の理解に役立つ.3.4.は分野別,5.は時代別に主要作品を分類し,概要を知る上で役立つ.『新潮古代美術館』11(新潮社)と共に図版の確認にも有効である.6.は各分野をより深く学びたい者に適当.7.8.は朝鮮の作家,作品に関する記録を調べる上で必携の文献.以上の文献にあたる際,必ずカラー図版が多く収載された全集類,特に『世界美術大全集東洋編』10・11巻や『韓国7000年美術大系 国宝』,『韓国文化財大観』を併せて参照されたい.9.は高句麗に関して知りたい時にまず参照することが望ましい.

〈絵画〉

1.は朝鮮半島の絵画の主要作品と画家を時代順に分類した基本的文献.2~4.は高麗仏画について.特に2.は豊富な図版と最新情報を収載,4.は専門書.5.は中国・朝鮮の喫茶に関する絵画資料の集大成で,図版と解説がわかりやすい.『水墨美術大系』別巻2(講談社)は朝鮮時代の水墨画の図版が豊富に掲載され,初学者から研究者まで利用できる.6.は高句麗壁画の図版が最も豊富な文献.7.は朝鮮通信使に関する文献.8.9.は民画の図版が豊富.11.は韓国美術の名品を厳選して紹介した初学者向きの書物.

〈工芸〉

1.は朝鮮の陶磁器を概説した入門書.2.は視点を学ぶ上で初学者から研究者まで役立つ論文集.3.は新しい視点で概説と論文が収載されており,概要を理解した者に適当.4.は入門書.漆芸については岡田譲『東洋漆芸史の研究』が入門書として適当である.5.は朝鮮の螺鈿の理解に役立つ.

〈彫刻〉

1.は韓国の仏像における時代的な様式変還の理解に役立つ入門書.2.は古代朝鮮金銅仏の系譜を考究した論文と図版解説でほぼ網羅されている.3.韓国の仏像研究の基準となる研究書.6.はモノクロ図録を中心とした研究書.9~12.日韓の共同研究による文化美術の考察をまとめた労作.16.は,朝鮮古代彫刻史の概説や,飛鳥・白鳳彫刻との比較研究がなされている.

〈建築〉

朝鮮の建築について,初学者は『世界美術大全集東洋編』10・11巻(小学館)で概要を理解した上で,1.2.の文献を参照することが望ましい.

3 中央アジア・インド・東南アジアの美術

〈中央アジア〉

中央アジアからインド・東南アジアに渡って東洋美術を概観する場合は,『カラー版 東洋美術史』美術出版社が図版も多く,入門書として分かりやすい.また,松原三郎編『改訂東洋美術全史』が包括的で美術の流れを把握しやすい.1.の深井晋司・田辺勝美『ペルシア美術史』が,中央アジア美術史を考察する上での基本的文献である.

〈インド〉

1.の宮治昭『インド美術史』が,インド美術史の流れをまとめた入門書として推薦できる.16.はスリランカの美術に焦点を絞ったものとして,初学者から研究者まで目を通すと良い.

〈東南アジア〉

1.2.は,図解・用語解説など便利であり,入門書として適切である.4.東南アジア文化圏におけるヒンドゥーと仏教建築の相違を考える上で欠かせない文献.

〈その他〉

1.はインドから中央アジアまで詳細な図像の考察がなされている本格的研究書.3.は第1部で文献資料に基づく仏教思想を,第2部では美術遺品資料に基づいて考察する.体系的に密教インド密教美術について述べられたもの.