西洋古典文学 | |||
52.オウィディウス『恋愛術、恋愛治療術』(ロンドン、1725年) | |||
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Publius Ovidius Naso, Ovid's Art of Love | ||
本書には、オウィディウスの『恋愛術』(Ars
Amatoria)、『恋愛治療術』(Remedia Amoris)以外にも、「愛の宮廷」('The
Court of Love')のようにオウィディウスとは全く無関係な英詩も含まれている。この作品はジョン・ストウ(John
Stow)が1561年のチョーサー全集(no.56)に収録したもので、チョーサーの作品と一時期見なされていた。本書は、オウィディウスの恋愛詩とともに、中世後期から近代初期にかけてのポピュラーな宮廷恋愛詩を含んだ、恋愛術のアンソロジーという性格を有している。そうした恋愛詩集に相応しく、挿絵には一貫してキューピッドが登場する。扉絵[1]は、母親のヴィーナスに見守られながら修辞学の神メルクリウスから教育を受けるキューピッドの姿を描いている。神々の教育は、ルネサンス絵画にしばしば登場するテーマである。図[2]は眠っているキューピッドの羽を切り、弓と矢筒を持ち去ろうとする乙女たちの姿である。
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