Graduate Seminar in Theatre Studies at Keio University

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自己のなかの異他――芸術、文学、演劇を例に 
Fremde im Eigenen in Kunst, Literatur und Theater

 

近年、「自己文化」の自明性を問い直す研究がヨーロッパの人文学研究で盛んに行われています。 哲学者ベルンハルト・ヴァルデンフェルスが主張するように、私たちが自明と思うものにも「異他的なもの(das Fremde)」が潜んでおり、それが自明性のなかに隠れる諸問題と関連したり、それらを明らかにするきっかけをもたらすことがあります。 異他的なものは異文化にあるだけでなく、自己文化のなかでも潜在的に蠢いています。この自己文化と異他的なものとの関係を、ヨーロッパの人文学研究は解き明かそうとしています。
同様の取り組みは、芸術作品においても行われきたと言えるでしょう。洋の東西を問わず、文学や演劇は、自分たちが生きる世界のなかに異他的なものを描き出し、読者や観客に問い続けてきました。

 

当シンポジウムは、ライプツィヒ大学とハレ歌劇場から演劇・文化研究者とオペラ・演劇の演出家をお招きし、自分(たち)に潜む異他なるものと取り組む芸術の意義について議論します。

 

Flyer(ドイツ語案内あり)

 


日時: 2018年1月27日(土) 10:30 ~ 17:00
会場: 慶應義塾大学三田キャンパス 南館4階会議室
主催: 科研プロジェクト「越境文化演劇研究――異他の視点からの演劇文化論」

 

10:30 ~
ご挨拶
10:40 ~ 11:20
ヴェロニカ・ダリアン(ライプツィヒ大学准教授)
自己の無根拠との戯れ――トランスメディア的な異他の研究
11:25 ~ 12:05
ミヒャ・ブラウン(ライプツィヒ大学講師・同大学演劇研究センター長)
「エル・ドラードでよそ者はそんな風に見かけない」――現代演劇の遊戯的状況において異他的なものが自己の経験になることについて
12:10 ~ 12:50
ジャンヌ・ビンダーナーゲル(ハレ歌劇場ドラマトゥルク・ライプツィヒ大学演劇研究センター所員)
自由の原動力、美の原動力――オペラの異他的な身体
14:30 ~ 15:10
針貝真理子(慶應義塾大学非常勤講師)
『CHITENの近現代語』における異他への生成変化
15:15 ~ 15:50
平田栄一朗(慶應義塾大学文学部教授)
自己と異他的なものとの差異――能と中世日本の歴史に照らし合わせて
16:10 ~ 17:00
全体討論

 

*本シンポジウムはドイツ語で行われます。
*予約不要