博物学
80.コンラート・ゲスナー『動物誌 第4,5巻』

(フランクフルト、1604年 / チューリッヒ 1587年)

 

Conrad Gesner, Historiae animalium syoshi.jpg (1610 バイト)
   近代のプリーニウスとも称しうるスイスの自然学者で古典文献学者コンラート・ゲスナーは、イタリア、ドイツの図書館をまわって勉強しているうちに、自分の時代までに蓄積された人類の全知識を体系化し、それまでに刊行された全ての印刷本と、なるべく多くの写本を収録した完全なる書誌を作成しようと決意した。4年後に刊行された『書誌総覧』(1545)には、ほぼ12,000点の著作が解説されている。1551年に初版の刊行が始まった『動物誌』編纂に際しても、ゲスナーは同じく徹底した収集と分類の精神を発揮した。動物の図版を広く取り寄せるだけでなく、ときには自分の標本室のためにポーランドからも動物を送らせた。またギリシャ語、ラテン語をはじめ、近代ヨーロッパ諸語で書かれた博物学の文献を全て読むことを目標とし、さらに各国の友人知人に問い合わせて、動物の名前に関してなるべく確かな情報を得ようとしたのである。『動物誌』は実際には5巻からなり、それぞれ「胎生の四足動物」、「卵生の四足動物」、「鳥類」、「魚類と水性動物」、「ヘビ類」と分類されている。第6巻は昆虫を扱うはずであったが、それは完成せず、サソリに関する小論のみが5巻の末尾に付け加えられている。慶應義塾図書館所蔵のラテン語版は、第4巻の「魚類と水生動物」以降の巻の合本である。挿絵[1]は第4巻より、鯨とシャチ('balaena cum adiuncta orca')である。

 

ゲスナー『動物誌』の他の版: no. 81

 

ハンス・フィッシャー(今泉訳)『ゲスナー − 生涯と著作』(博品社、1994

 

     

 

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