旅行記
78. アーノルド・モンターヌス

『日本の皇帝への記念すべきオランダ東インド会社の使節団』

(アムステルダム、1680年)

 

Arnoldus Montanus, Ambassades Mémorables syoshi.jpg (1610 バイト)

 オランダの東インド会社は1609年以降日本において、最初は平戸、1641年以降は長崎を拠点として活動したが、1633年から1790年まで毎年、江戸幕府への使節団を派遣していた。牧師のアーノルド・モンターヌス (オランダ名Arnold van [den] Bergen)は、スペイン、ポルトガルの宣教師たちの記録や東インド会社の資料を利用して、そうした使節団による日本の見聞録を、多くの銅版画を入れて作成した。初版は1669年の刊行である。表題には、旅行中に起きた特記すべき事柄にあわせて、町、村、城、城塞、寺社、動物、植物、山河、泉、風習、習慣、宗教、衣装、戦役などについての記述を含むと記されており、そこにはキルヒャーの『支那図説』(no.77)に通じるような百科全書的興味が認められる。1690年に来日して日本語を学び、その『日本史』により後のヨーロッパ人の日本観に大きな影響を与えることとなるドイツ人の医師、エンゲルベルト・ケンペル(Engelbert Kaempfer, 1651-1716)も、モンターヌスを熟読していた。

使節団に参加する以外では長崎の出島(別名Schisma[1]の外に出ることが難しかったオランダ人は、この人工島のスケッチを多く残している。地震や1657年の江戸の大火については詳しい記述があるが、「江戸の大火」の図版[2]では使節団が経験したであろう恐怖が、見事に投影されて描かれている。

 

     

 

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