年代記・歴史書 | |||
65.ラファエル・ホリンシェッド 『イングランド、スコットランド、アイルランド年代記』(ロンドン、1577年) |
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Raphaell Holinshed, The Chronicles of England | ||
ホリンシェッドの『年代記』の初版で2巻からなる。この年代記の執筆は古事研究家、聖職者、法律家、出版人などによる、エリザベス朝における一種の共同事業であったといっても過言ではない。エリザベス女王のもとで書籍出版業組合のマスターであったR.ウルフ(R. Wolfe)は、地図や図版を数多く含んだ世界の歴史と地誌の刊行を計画していたが、1573年にウルフが死ぬと、その計画はより現実的なイギリス国史となってJohn Harrison、 Lucas Harrison、 George Bishopの3人の印刷人に引き継がれた。そしてウルフの助手をしていたと思われるホリンシェッドを中心に編纂され、William Harrison、Richard Stanyhurstの協力を得て完成した。印刷はウォルシンガムの『年代記』(no.64)と同じく、Henry Bynnemannによる。ホリンシェッドの死後の1587年にはJohn Hooker、 Abraham Fleming、Francis Thynne、John Stow等が執筆陣に加わって、改訂増補された第2版(no.4)が刊行されているが、挿絵は含まれていない。第2版はシェイクスピアが利用したことが知られている。 初版には数多くの挿絵が挿入されているが、図[1]は ブルートが狩りの途中に誤って父ジュリアスを殺す場面、図[2]はリチャード3世がバッキンガム公を処刑する場面である。
ホリンシェッド『年代記』の他の版: no.4
『鵞ペンから印刷機へ』, 27 |
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