エンブレム・ブック
33.『若者の娯楽と進歩のためのエンブレム』(ロンドン、1700年?)

 

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   チェコ出身の教師で教育学者ヨハネス・アモス・コメニウス(Johannes Amos Comenius, 1592-1670)によってヨーロッパ最初の子供向けの絵入り教科書である『世界図絵』(Orbis sensualium pictus)が刊行されたのは、1658年であった。その翌年にはロンドンで早くも英訳版が刊行され、その後19世紀の半ばまで、複数の言語で版を重ね続けた。そうした子供の教育のための書物に対する関心の高まりに呼応して、17世紀の終わりになると、エンブレム・ブックも教科書的用途に利用されるようになる。

   本書も、そうした意図で製作された作者不詳のエンブレム・ブックである。慶應義塾図書館所蔵本にはタイトルページに手書きで1700年と記されているが、マリオ・プラーツによるとコピー毎に記載されている年号が異なるため、実際には1729年あるいは1750年ころに刊行された可能性が高いと思われる。扉絵[1]は、「愉しませながら教える」という題辞とヘルメスを描いているが、本書の役割はまさにそこにある。本文は、代表的エンブレム・ブックから集めた挿絵を小型のメダルの形にして、15点ずつグループ分けして一枚の図版とし、それぞれの挿絵に簡潔な説明をほどこしている[2]。この図版は、同じ様なレイアウトを有するオフェレンの『古代と現代のエンブレムと標章』no.31に基づいて製作されたと推測される。

 

     

 

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