エンブレム・ブック
22.ヤコブス・ア・ブルック『道徳と戦いのエンブレム』

(ストラスブール、1615/1616年)

 

Jacobus à Bruck, Emblemata moralia et bellica syoshi.jpg (1610 バイト)

   57枚の円形の銅版画にラテン語の題辞と4行詩を組み合わせたエンブレム・ブック。本書はこの版しか刊行されなかったが、ブルックは1618年に『政治のエンブレム』(Emblemata politica)と題したエンブレム・ブックも出版している。各紙葉の片面にしか印刷されていない点や、円形の挿絵を題辞が取り巻くデザインは、ローレンハーゲンのエンブレム・ブック(no.21)と似ている。銅版画はJacob van der Heydenの原画を、タイトルページとともにマテウス・メリアン(Mathaeus Merian)が版刻したとされている。慶應義塾図書館所蔵本では、本編の翌年に刊行された4行詩のフランス語訳が合冊になっている。

   本書はまず著者自身のエンブレム[1]から始まるが、「これ以上何も」というモットーに囲まれて、王冠を戴いたカタツムリが指輪の上を這ってゆく様子が描かれる。限られた道をゆっくりと進むカタツムリは、僅かなもので満足して他に何も必要としないが、そのほうが大金持ちのクロイソスよりもはるかに幸福である。同じエンブレムはタイトルページにも見られる。犬と牡牛が豚を馬車に乗せて引いてゆくエンブレム[2]は、大食や酩酊によって理性を失った人間は、こうした動物よりも劣るという意味である。

 

     

 

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