Graduate Seminar in Theatre Studies at Keio University

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久保田万太郎記念企画のご報告

 

慶應義塾大学文学部と久保田万太郎出版編集委員(関根謙・小平麻衣子・吉永壮介・西野絢子・平田栄一朗)は、義塾出身で没後60周年の作家・久保田万太郎にまつわる3つの企画(書籍出版・展示・シンポジウム)を立案し、2023年10月から12月にかけて実現いたしました。各企画は次の通りです。

 

書籍出版『久保田万太郎と現代――ノスタルジーを超えて』
慶應義塾大学『久保田万太郎と現代』編集委員会編
2023年10月末、平凡社
定価5,280円(本体4,800円+税)
出版社ウェブサイト

 

シンポジウム「久保田万太郎と現代」
日時:2023年12月16日(土)14:00 ~ 17:00
場所:慶應義塾大学三田キャンパス北館ホール
講演者:
・恩田侑布子(俳人)「やつしの美の大家 久保田万太郎—「嘆かひ」の俳人よさらば」
・石川巧(立教大学文学部教授)「久保田万太郎から劇文学の可能性を考える」
・長谷部浩(演劇評論家、東京芸術大学美術学部教授)「万太郎と戸板康二―劇作と批評について」
有志学生による久保田万太郎作品の朗読
司会:小平麻衣子(慶應義塾大学文学部教授)
慶應義塾大学 ニュース

 

展示「久保田万太郎――時代を惜しみ、時代に愛された文人」
会場:慶應義塾三田図書館1階展示室
会期:2023年11月28日(火) ~ 2023年12月23日(土)
慶應義塾大学図書館 展示室 展示情報

 

全ての企画を終えた今、関係者の方々に改めてお礼を申し上げます。
冒頭で申し上げたように、久保田万太郎出版編集委員である関根謙(「三田文学」編集長)、小平麻衣子(国文学専攻)、吉永壮介(中国文学専攻)、西野絢子(仏文学専攻)・平田栄一朗(独文学専攻)の5名が2022年5月以降、多くの会合を重ねて企画の構想を練り、関係者の方々への依頼を行いつつ、企画の準備を進めて参りました。
書籍『久保田万太郎と現代――ノスタルジーを超えて』では、慶應義塾への著作権寄贈によって60年にわたる教育事業を可能にした久保田万太郎の功績を、万太郎文学に詳しい作家・演劇人・研究者に再評価していただきました。万太郎の重要な足跡を踏まえつつ、従来と異なる実像を浮き彫りにしてただきました。執筆者の方々にお礼を申し上げます。
慶應義塾図書館の「久保田万太郎――時代を惜しみ、時代に愛された文人」については、万太郎と縁のある文学座やイラストレーターの大高郁子先生などの協力を得て、万太郎の小説・演劇・俳句・文壇活動などの全貌を原稿やイラスト、舞台写真やポスターによって広く見渡せるように試みました。展示の企画立案と作業に当たっては図書館員の方々と国文学専攻の大学院生に手厚くサポートしていただきました。ありがとうございます。
シンポジウム「久保田万太郎と現代」では、万太郎の文学・俳句・演劇研究を牽引する恩田侑布子・石川巧・長谷部浩先生から万太郎を再評価する興味深いお話をいただきました。また5名の塾生(五十嵐幸輝君、伊藤裕里君、川澤恵梨香君、西峰紗雪君、山本一翔君)が万太郎の戯曲をコラージュして編纂した朗読劇を夢幻能の形式で披露し、会場にいた多くの方々に示唆に富んだ印象をもたらしてくれました。登壇者の先生方、塾生の方々に厚くお礼申し上げます。
最後に、久保田万太郎出版編集委員である関根先生、小平先生、吉永先生、西野先生にお伝え申し上げます。編集委員会は諸事情から急遽発足し、向こう1年半をめどに3つの企画を実現することになりました。万太郎文学に必ずしも精通するわけではない5名の編集委員は、関連する先行研究を学ぶところから始め、討議を重ねて、3つの企画によって現代の視点から久保田万太郎像を浮き彫りにすることになりました。書籍出版・展示・シンポジウムを1年半後に実現することは決して容易ではありませんでしたが、編集委員が知恵を出し合い、難局を迎えたときはしっかりと話し合ってそれを乗り越えていきました。ここまで無事に漕ぎ着けたのは先生方のご尽力あってのことだと実感しております。どうもありがとうございました。

報告:平田


・Photo(久保田万太郎記念出版編集委員と国文学専攻の大学院生)