金大禮のシッキムクッ (1996の映像 撰)
                                                    野村伸一

 この映像は「金大禮タンゴッレのシッキムクッ」より祖上クッ以下の核心的な部分を編集したものである。
 担い手の金大禮(キム・デレ)タンゴッレ(1935-2011)は1980年に重要無形文化財第72号珍島シッキムクッ技能保有者とされた。1996年当時、病気がちではあったが、なお、シッキムクッの現場で独特の節回しで巫歌を唱えていた。ここにあげたシッキムクッは全羅南道求禮においておこなわれたものである。金大禮の本拠は珍島だが、以前とは異なり、招請されれば遠くまででかけていった。 2011年3月逝去、享年76。

  映像(5分) 

 〔映像解説〕

 祖上(チョサン)クッ  頭に包帯を巻いた婚約者の男性と故人の家族が祭膳の前に居並ぶ。杖鼓の朴ジンソプ氏の唱え声、ピリのうめくような音が響く。テグムの少し高い音も聞こえる。故人と婚約者の結婚式のかたちを象徴的に示す。

 コップリ(結び解き)  白い木綿の布でコを七つ作る。コは「結び」であるが、また「苦(コ)」とする考えもある。巫歌とともにコを解いていく。
 洗霊(シッキム)  よもぎ水、香水、浄水でていねいに故人のからだと霊を浄める。
 霊魂上げ  亡者の霊(白紙で作ったヒトガタ)が父母の頭に留まり離れていく。死者の霊魂がわだかまりを洗い流し、あの世へと飛翔できるようになったことを示す。
 ノクプリ(霊魂解き)  霊の道行を安らかにさせるための呪詞。
 ヒィソル(弔い)  秦広大王以下あの世の十王の名があげられる。冥府の十殿を無事通過できるように祈る。
 キルタックム(道均し)  霊の極楽入りのさまが白布の上で展開される。
 下直(ハジク 暇乞い)  タンゴッレは布橋を肩に担ぐようにして往き来する。

 詳細は「金大禮タンゴッレのシッキムクッ」参照。

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