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以上のような山伏神楽の思想を示すものに、大償神社別当佐々木家に伝わる長享二年(1488)の「日本神楽之巻」や、同じく大償神社別当家に伝わる寛政元年(1798)の「神楽之六座之巻」などがある。このうち前者は、岩戸開きの内容のみを記したもの故、ここでは式舞全体にふれている「神楽之六座之巻」を見ると、
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との記載が認められる。ここでは天地未分の渾沌とした状況から、翁舞によって天が為り、黒叟舞により地が為り、四弓舞によりこの天地が和合し、三神舞で初めて島が成り生物が生じて三神が生まれ、八神舞で伊弉諾、伊弉冊までの神世七代が生じるというように、式舞が宇宙の開闢の順序に従って舞われているのである。
一方、大償の弟子神楽にあたる東和町晴山の白山神楽に伝わる「大償内野口家流式七拍子」の伝授書には、
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との記載が認められる。
これは天保六年(1836)に大償の法印某が晴山の横川儀右ェ門に伝授したものである。ここでは「鶏卵舞」は天地未分の状態、「白翁舞」で天、「黒叟舞」で地の形成、「四弓舞」では天地が和合して万物が生じることが示されている。そして裏舞の一連の舞いによって、天の岩戸が開くことや、蛇や悪神が退治され、天孫が降臨し、朝敵を退治することを示すという構成になっているのである。
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