トップ早池峰神楽

5. 祭礼と門付け


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現在の早池峰神社の祭礼はさきにもふれたように八月一日である。神楽は、前の晩の宵宮と祭礼当日の神事の後の二回、神楽殿で奉納される。神事は一日の朝、早池峰神社本殿で催され、続いて御旅所までの神輿渡御がある。この時の行列には権現様<獅子>がお伴をする。かつては祭礼に出てくる権現様は四、五体であったというが、最近では近郷近在の権現様や、古くなって平素はまったく使われない隠居様と呼ばれる権現様も出てきてにぎやかである。これらの権現様は、神事の後神社の境内でまるくなって大きな輪をつくり、囃子にあわせて権現舞(写真下)を舞い歯打ちをする。カッカカ、カッカカという獅子頭の歯を打ち合わせる音が周囲の山々にこだまして荘厳な雰囲気をつくり出す。また御神幸の途中でも、所々で権現舞が行なわれる。そして御旅所では神事終了後早池峰神社の権現様が権現舞を舞うのである。岳や大償の権現様はかつては村々をまわって門打ちをして歩いた。この権現様が訪れて来なくなった今、近郷の村人たちはこの祭りの場にその姿を求めているのかもしれない。
権現舞たしかに権現様は山伏神楽にとっては欠かせない存在なのである。いかなる場合にも、山伏神楽では必ず最後に権現舞が演じられる。そしてその時に別当が散供謡をうたい、権現様に向かって米を撒きかける。そして次に酒を献じ、水桶に柄杓をそえて権現様に差し出す。権現様は柄杓で水桶の水をくんでそれを口にくわえ、民家では台所のかまどや居間の火鉢などに水をかけ、残りを屋根の棟にすべてふりかけて「火伏せ」の祈祷をする。修験者のもつ火を統御する力が期待されているのである。また権現様は幼児の頭をかじったり、衣装を噛んで健康祈願もする。人々は権現様の幕の下をくぐって息災延命を願う「胎内くぐり〔VIDEO〕」を行なう。胎内くぐりをすることで生まれ清まりを果たしうるという修験の思想が、こうした信仰の中に読みとれるのである。いう迄もなく権現とは仏や菩薩が衆生済度のために神や人となって仮にこの世に現われてくることである。この山伏神楽では早池峰の神が獅子頭〔VIDEO〕の姿で現われ、人々の生活をおびやかす諾々の悪霊を祓い鎮めようとしているのである。



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