Graduate Seminar in Theatre Studies at Keio University

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寺尾恵仁 独文学会賞受賞

主催
日本独文学会
開催日
2018年5月26日(土)
会場
早稲田大学

概要
寺尾恵仁君が「ドイツ文学」の掲載論文「反復されるフィグーア ―― クリストフ・マルターラー演出 『ムルクス』における歴史批判」によって、 第58回ドイツ語学文学振興会奨励賞を受賞しました。受賞のお知らせは以下のリンク先に掲載されています。
授賞式は2018年5月26日、日本独文学会研究発表会の会場となった早稲田大学で行われました。 寺尾君はライプツィヒ大学に留学中のため出席できず、代わりに平田が授賞式に臨み、祝辞を述べました。 掲載する写真には代理出席の平田が写っていますが、寺尾君の名前と論文名が確認できます。
祝辞は同振興会の機関紙「ひろの」58号に掲載されましたが、当HPにも記載します。

お祝いの言葉

寺尾恵仁さん、受賞おめでとうございます。
寺尾さんは理論と実践にまたがるユニークな研究を続けてきましたが、その成果が今回の受賞によって認められたことを大変嬉しく思います。 寺尾さんは学部時代から演劇界の第一線で活動する劇団で俳優活動を行い、シェイクスピアや三島由紀夫の劇作品に出演しつつ、ドイツ演劇研究で研鑽を積んできました。 修士課程以後、俳優術の歴史的・実践的意義をドイツや日本の演劇において解き明かす研究に取り組み、 博士課程の途中からDAADの奨学金を受けてライプツィヒ大学に留学し、現在、同研究に関する博士論文を執筆しています。
俳優術の研究は近年ドイツの演劇学で著しく進歩し、今後さらに大きな発見が期待される領域です。 同研究は、演技を単なる印象や技法で評価する従来の方法から脱し、 現象学、文化人類学、社会学、歴史学、文学理論、精神分析、身体研究などの最先端の理論から捉え直すことで、 演技につきまとう通俗的イメージを超えたところにある意義を引き出しています。
寺尾さんの受賞作はこの最新の学問的潮流を踏まえて、クリストフ・マルターラーの演出『ムルクス』における通常の俳優術を逸脱した不明瞭な身振りを、文学論の(脱)フィグーア概念やアドルノ/ホルクハイマーの歴史哲学論から解明した画期的な試みです。 不可思議な演技に(脱)修辞学的な形象と歴史哲学批判を見出したことは、従来の演技論と異なる視点をもたらしたと言えます。 この受賞を糧に、実践と研究の双方でさらなる飛躍を期待しています。

(報告:平田)


ドイツ語学文学振興会

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