Graduate Seminar in Theatre Studies at Keio University

Activities

住みたい、芝居を見る
――ハイナー・ミュラー『落魄の岸辺 メデイアマテリアル アルゴー船員たちのいる風景』に見る演劇における風景経験

シンポジウム名
『空っぽの真ん中に住む』工事現場、ブレヒト&ミュラー、住むをテーマに
主催
Sophie König, Marten Weise und Noah Willumsen
共催
国際ブレヒト学会、国際ハイナー・ミュラー学会
開催日
2021年12月2日(木),3日(金)
会場
文学フォーラム・イン・ブレヒト・ハウス(Literaturforum im Brecht-Haus)

概要

12月2~3日にベルリンは文学フォーラム・イン・ブレヒト・ハウス(Literaturforum im Brecht-Haus)にてシンポジウム「『空っぽの真ん中に住む』工事現場、ブレヒト&ミュラー、住むをテーマに」が開かれました。 ベルトルト・ブレヒトが晩年を過ごした建物で、作家にとっての住まうことと書くことの関係について、若手研究者を中心として合計9つの発表がなされました。また作家によるディスカッションや出版物、演劇プロジェクトの紹介もなされました。
長い亡命生活を経てこの建物で没したブレヒトと、再統一後のドイツを生きたミュラーにとって居住は最重要な観点の一つでした。 のみならず、家内労働を強いられる女性作家にとっては、「住まう」ことにかかわる労働と文章をものす活動は、往々にして物理的にも精神的にも両立が難しい課題として立ちはだかります。 また当シンポジウムは、執筆活動を精神的な創作にだけ還元するのではなく、ペンを動かすこと、タイプすること、あるいは原稿を切り分け並べ直すことなど物理的な運動として捉え直すことにも焦点を当てました。
当ゼミ所属の石見舟は「住みたい、芝居を見る――ハイナー・ミュラー『落魄の岸辺 メデイアマテリアル アルゴー船員たちのいる風景』に見る演劇における風景経験」を発表しました。 当シンポジウムのタイトルにも採用されているミュラーの戯曲を例にとり、「住みたい」という願望と「住むところがない」という現状の対比、そしてそれと戯曲を書くという行為を演劇における観客の風景経験の点から分析しました。 他の発表者も同戯曲を取り上げるなど、それぞれの発表が共鳴し闊達な議論が行われました。

報告:石見