Graduate Seminar in Theatre Studies at Keio University

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池田美月さんが修士課程を修了しました。卒業論文と修士論文でベルトルト・ブレヒトの戯曲を越境文化論の視点から捉え直して、独自の考察を導き出しました。 卒業論文ではイギリスの植民地下にあったインドのイギリス人兵士らを揶揄した戯曲『男は男だ』を取り上げ、個人のアイデンティティが状況次第で大きく変わるありようを、 作品が成立した1920年代においてだけでなく、新自由主義経済などのアクチュアルな状況に照らし合わせて読み解きました。

修士論文ではブレヒトの初期の戯曲に顕著な身体描写が未邦訳の戯曲断章”Aus nichts wird nichts”などの「教育劇」に継承されていることを確認し、身体描写が単なる身体の問題ではなく、 心身二元論への批判や思考と身体との関係にも及んでいることを解き明かしました。

ブレヒト研究の傍ら、池田さんは学部から修士課程にかけて英語力とドイツ語力に磨きをかけ、課程修了後は国際交流を促進する公的機関で働くことになりました。更なるご活躍が期待されます。
池田さん、修士課程修了、おめでとうございます。

 

2022/3 報告:平田