Graduate Seminar in Theatre Studies at Keio University

News

寺尾恵仁君、博士号取得!

 

2022年11月9日、ライプツィヒ大学演劇学研究所にて寺尾恵仁君の学位請求論文Theater im Grenzwert Schauspielpraktiken im japanischen Theater der 1960er-Jahreの口頭試問が行われました。
審査者は俳優術研究の第一人者Gerda Baumbach先生、同大学演劇研究センター所長のGünther Heeg先生、 平田の3名で、口頭試問の冒頭では3名が各自用意した審査報告書の要約を読み上げました。(平田は様々な制約ゆえライプツィヒに渡航できず、三田キャンパスからzoomにて試問に臨みました。) その後、寺尾君が論文のエッセンスについて講演形式で説明し、これに関する質疑応答が行われました。寺尾君はいずれの質問にも的確に答え、非常に高い評価で合格しました。
寺尾君の学位請求論文は、寺山修司、唐十郎、鈴木忠志らに代表されるアングラ演劇(論文では「1960年代演劇」と称される)の演技方法に着目し、「新劇」と異なる演技の特徴を浮き彫りにしました。 アングラ演劇については優れた先行研究が国内外でありますが、演技の特徴を演劇人毎に特徴づけたり、演劇史の背景から網羅的に考察する研究は皆無でした。 寺尾君はこの未開拓の領域を、能や歌舞伎、明治時代の演劇改良運動、壮士芝居、新劇初期の俳優術などと比較しながら明らかにし、 アングラ演劇の俳優術は身体表現と人間性の限界領域において成り立ち、その領域において人間とは何か、演劇とは何かという問いに独自の答えを示唆するものであるとの結論を導き出しました。
寺尾君は学部時代から俳優として舞台に立ち、演劇制作にも積極的に関わりながら、大学では俳優術研究に打ち込んできました。俳優業などの実践活動を続けながら、ドイツ語で学位請求論文を書き、高い評価を得て合格したことに驚嘆と賛辞しかありません。
寺尾君、おめでとうございます! 理論と実践を共に実現する点で絵に描いたような成果となりました。これからもマルチな活躍を期待しています。
報告:平田

 

・Photos
無事に口頭試問が終わり、レストランで先生や仲間とお祝いをしたときの寺尾君。審査者のBaumbach先生やHeeg先生らに囲まれています。