Graduate Seminar in Theatre Studies at Keio University

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2021年度から科研費の支援を受けて、演劇と民主主義の関係を再考する研究プロジェクト「シアトロクラシーとデモクラシーの交差――演劇性と政治性の領域横断研究」を開始しました。
本プロジェクトは4年計画の予定で、国内外の演劇学や政治学などの研究者との議論を行います。議論や考察を通じて世界の多くの地域で起きている民主主義の危機に対して演劇学ができることを私たちになりに導き出したいと考えています。

 

研究目的(概要)
最近の欧米の政治思想研究は、「根拠なき見せかけ」や「虚構(擬制)」といった演劇的な特徴、すなわち「シアトロクラシー」の側面をデモクラシーの内在的な特性として検討し始めています。 この特性は、プラトンやルソーに代表される政治思想研究においてもっぱら否定的に評価されてきましたが、最近の政治研究は、演劇的な特徴の良し悪しを多角度から再検証することで、LGBTQや移民などをインテグレートする開かれた民主主義の発展の可能性を議論しています。 演劇学を出発点とする本研究は、政治思想研究におけるこの新分野に参加し、政治学者や海外の演劇研究者との議論を通じて、最近のヨーロッパの演劇学が独自に発展させてきた演劇-政治論を提案し、それらの論が民主主義の議論においてどこまで有効であるかを検証します。 その有効性を解明することで、本研究は、演劇学が導き出す「演劇知」によって、政治学の民主主義論に新しい見地をもたらすことを目指します。
2021/05 報告:平田