折原一『倒錯の帰結』
講談社,2000. 402p.

 『首吊り島』と『監禁者』という2編が前後から,そして真ん中に袋とじ『倒錯の帰結』があるという凝ったというか珍妙な製本となっている。背表紙には,「倒錯の帰結」はわかりにくく印字されているので,本屋で探すのは難しい。
 横溝正史『獄門島』を思わせる首吊り島』,スティーブン・キング『ミザリー』を思わせる『監禁者』とのことだが,遠く及ばない。それよりも新趣向の密室トリックのようであるが,いかんせん無理が多すぎる。二つの中編が円環構造であるという点が特色のようであるが,それなら袋とじの部分はいらない。奇抜さだけの失敗作であろう。

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