ダグラス・ケネディ『仕事くれ。』
A−
Kennedy, Douglas. The Job. 中川聖訳.新潮社,1999. 694p. (新潮文庫)

 主人公ネッド・アレンは業界第3位のコンピュータ雑誌の営業主任である。メイン州からニューヨークに出てきて,この職を得て,広告会社勤めの妻がいる。外回りの営業と電話オペレータのチームを管理しながら雑誌の広告を集め,ノルマを果たしている。週に2回,早朝のテニス,夜はレストランやパーティで過ごしている。ところがクリスマスが近くなった時,会社がドイツのメディア企業に売却される。そして,次の号の広告に穴が空きそうになる。しかしなんとか乗り切り,昇進できそうになった途端,騙されて失業してしまう。再就職をしようとするが,どうしてもいまくいかない。妻にも逃げられそうになる。そこに,救いの手が差し伸べられる。張り切って新しい仕事を始めたが,どこかおかしい。またも騙されているらしい。殺されるのは一人だけであるが,犯人は明らかである。ただ,アレンを雇っている連中が何をしているのかがわからない。前半は,雑誌の営業の仕組みが面白く,中間は再就職のためのノウハウ紹介で,後半はサスペンスであり,読み始めると止まらない。

[索引]