ジェイムズ・H・コッブ『シーファイター全艇発進』
A−
Cobb, James H. Sea Fighter. 伏見威蕃訳.東京,文藝春秋,2001. 上下.(文春文庫)

 第三作の舞台は,赤道直下のアフリカ,2007年である。リベリアを改革したベレワ将軍は隣のシェラレオーネを併合して西アフリカ連邦とし,次にギニアを手に入れようとしている。これを阻止しようとする国連軍の中核がアメリカ軍であるが,司令官として女性士官アマンダ・ギャレットが大佐に昇進して派遣される。海上基地の上で居住し,ホバークラフト艦隊を指揮する。前作までのスタッフで残るのは情報担当のレンディーノ少佐だけである。国連軍は,最新鋭兵器を持っているが,交戦規則に縛られている。クライマックスは,まるで伝統的な海戦のようになる。ギャレット大佐は,知力と胆力を尽くして戦い,常に「精いっぱいがんばってる」。敵役のベレワ将軍も理想を持った誠実な人物として描かれている。訳者の伏見氏が言うように,新型のホーンブロワーものであるが,続作がなさそうなので不安である。

[索引]