アンディ・マクナブ『リモート・コントロール』
McNab, Andy. Remote Control. 伏見威蕃訳. 角川書店,1999. 513p.(角川文庫)

 英国陸軍特殊空挺部隊SAS(Special Air Service)を辞めて英国情報部の工作員をつとめる多分40歳前後の男が主人公である。これまで対IRA活動にかかわってきた。IRAのメンバーをつけていく仕事でワシントンへ行ったが,任務が中止となり,ワシントンに住むかつての同僚の家に寄ると意外な事態が待っていた。最初の部分は快調であるが,中だるみが長い。最後に「リモート・コントロール」の意味がわかるようになっている。著者は元SAS隊員であり,現在の追跡から破壊活動までの実際を克明に描いている点,7歳の女の子という重荷を背負いながら調査を行っていくという点,それにアイルランド問題はもはや産業となっていて,簡単に終わらせることができなくなっているという指摘のある点などが特色である。

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