スティーブン・ハンター『極大射程』
A−
Hunter, Stephen. Point of impact. 佐藤和彦訳.東京,新潮社,1999. (新潮文庫) 上下

 主人公は,ヴェトナム戦争の伝説的スナイパーであったボブ・リー・スワガーで50歳近い。退役後,アーカンソー州で一人静かに暮らしている。ところが,正体不明の組織に誘い出され,とんでもない罠に落ちてしまう。これに誠実に仕事をしながらもFBIの中で徐々に居場所を失うニック・メンフィスという捜査官がからんでくる。この組織とボブ・メンフィスのコンビの間で,複雑な騙し合いがあり,数度にわたる銃撃戦がある。ヴェトナム戦争で鍛えられた長距離狙撃のプロフェッショナルが,自ら死地におもむいて,いかに脱出するかというアクションであり,日本にはあまりいないであろう「銃狂い」の話である。次々とクライマックスがあるので,読み通す他はなくなる。

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