ジェフリー・アーチャー『十一番目の戒律』
B+
Archer, Jeffrey. The Eleventh Commandment. 永井淳訳. 東京,新潮社,1999. 513p.(新潮文庫)

 主人公は51歳のCIAのスナイパーである。コロンビアの大統領候補暗殺から始まるこのポリティカルフィクション,大統領暗殺ものは,昔のロバート・ラドラムそっくりに敵味方入り乱れて,めまぐるしい展開をみせる。悪者は,CIAの女性長官ヘレン・デクスターとロシアの大統領選挙に当選した共産党党首ゼリムスキーである。51歳で現役のエージェントというのは少し無理があるし,ゼリムスキーの悪役ぶりは子供っぽい。ロシアのマフィアの実態が描かれているというが,マフィアらしいのはほんのわずかであって,どちらかと言えば間が抜けている。しかし,結末は半分は予想を裏切り,半分は予想通りである。

[索引]