ディヴィッド・マレル『真紅のレクイエム』
Morrell,D. Desperate Measures. 1994. 山本光伸訳. 東京,早川書房,1996. 323p.

  アメリカでは,民主党政権でも共和党政権でも5人の「大顧問」という黒幕が助言を与えてきた。この「大顧問」達は大きな秘密を持っており。それを隠すためには国家機構を使って何でもする。これに立ち向かうのが,息子を癌で亡くし自殺しかかっている30代半ばの新聞記者であり,これまでの取材で得た知識を動員して,逃げ回りながらも,徐々に隠された秘密を明らかにしていく。しつこい追跡者と逃亡者の物語であるが,一体隠された重大事とは何かと思って最後まで読むのをやめられなかった。しかし,この逃亡劇で起きる大量殺人に比べればたいしたことのない真相だった。

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