フランシーン・マシューズ『ムード・インディゴの沈んだ日』
A−
Mathews, Francine. Death in a Mood Indigo. 吉澤康子訳. 文藝春秋,1999. 483p. (文春文庫)

 舞台は,マサチューセッツ州のリゾート,ナンタケット島,時期は1996年の春である。主人公メレディス・フォルジャーは,1670年代からナンタケットに住む一家の出身で祖父も父も警察署長,自分も警官で33歳である。のどかな島の浜辺で女性の白骨死体が見付かる。一方で若い娘が絞殺される。折から連続殺人事件が起きている。周囲の人々の庇護を受け,島の中しか知らない自分に苛立ちを覚える感情豊かなメレディスは,FBIの捜査官や法精神医学者と捜査を進めていく。白骨死体の身元が判明し,8年前の事件がうかびあがってくる。おそろしく生真面目に自分の仕事を果たそうとするメレディスの行動とメレディスと何人もの人たちとの長い対話から構成されている。犯人の言動にいささか疑問はあるもののともかく最後まで読ませる。

[索引]