女神たちの祭儀(図録)-姑婆(グーポー)迎え、北斗戯 (映像補遺)

                                           野村伸一

付記
 この図版は、野村伸一編著『東アジアの女神信仰と女性生活』、慶應義塾大学出版会、2004年、所収「三、女神たちの祭儀」に掲載したものの原板です。一部補遺を加えました。

 
 
福建省寿寧県下房村、道教梨園教の傀儡による神事(1~8)


1福建省寿寧県下房村の正月の祭儀で疏文を読む師公。舞台中央に主役の神がみが安置される。右端、刀をかざすのが陳靖姑。2001年

2激しく跳躍して倒れる陳靖姑。


3龍角を持つ陳靖姑。その舞踏は激しく憑依を示唆する。
中国の踊る巫女―陳靖姑の跳舞(2001年。含映像)参照

4神とされる以前の陳靖姑はひとりの女巫であった。

5過関の儀。白紙一枚に三つの関が記される。

6馬に乗った陳靖姑が現れて子供たちの関煞を取り除く。白紙が関煞を象る。

7師公が穴あき銭を用いて長命縷を結ぶ。この糸は隣近所からもらい集めたもので、五色からなる。一家を代表して父親が子の衣服と長命縷を持って並ぶ。

8ハサミで子供の過関線(悪運)を断つ師公。祈願者のなかには30代の男性もいる。一種の厄除けである。

11過関の儀で舞台を巡る子供たち。背負われているのは足の不自由な長男。先導するのは陳靖姑。

12過関のとき、舞台には祈願者を代表する女性の人形も登場する。その頭部右側には花がかざされている。花は生命の象徴である。

13過関ののち、廟内にはいり、地域の神へ北斗戯が無事済んだことを告げ、皆が感謝の拝礼をする。左端は今回の北斗戯奉納の直接の当事者である母と子。

9北斗七星の化身である高夫人(右)が林九娘に青草を手に入れるための策を授ける。仙游北斗戯。

10刀を携えて登場する陳靖姑。敵役天河聖母を抑えて皇后の懐妊を助ける。北斗戯でも陳靖姑は中心の神である。


映像 1.福建省寿寧県下房村、道教梨園教の傀儡による神事
     図版参照(後掲)
     
 映像1-1 衆聖宮前。請神起馬。田公元帥に神事の開始を告げる。 (2分45秒)

 映像1-2 西王母と八仙。加冠。魁星。祭祀劇「雲頭送子」。仙女が子を授ける。 (2分54秒)
        一連の儀礼ののちに陳夫人(陳靖姑)を安置する。

 映像1-3 傀儡戯末尾の田公元帥掃台。 (2分56秒)

     関連 → 映像、苦悩する陳靖姑(『奶娘伝』第一本より)。


請神起馬。田公元帥に神事の開始を告げる。

神々への疏文を読む。

王母を囲む八仙。冒頭にやる祭祀劇

祭祀劇。雲頭送子。仙女が子を授ける。

傀儡戯末尾の田公元帥掃台。手にした赤い布は田公元帥に平定された銀花小娘の宝物。この女神は人に災いをもたらした。

田公元帥。田公の登場の際、囉哩嗹が唱えられる。また最後に掃台罡の足踏みがある。これは地域の安寧を意味する(葉明生『福建傀儡戯史論』上561頁)。
 

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 福建省莆田地区北斗戯(9~13)   映像 .福建省莆田地区北斗戯の過関(2分17秒)