トップ早池峰神楽

4. 山伏神楽と祈祷


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山伏神楽九字を切ったり、印相を結び真言や呪文を唱えるなど祈祷の色合いが濃い。特に祈祷の目的で行なわれる舞いの時には左右の中指に御幣状に切った白紙を指輪のようにはめて舞う。これをクジと称し、かつては囃子方もつけていた。クジをつけずに舞殿へ上がることは許されなかったという。クジの呪力は一般にも信じられていて、これを持っているとお産が軽い、怪我をした時に血止めになる、家畜の病気が治るなどと信じられていた。また舞いの中で使われる印相には、神舞の折の来迎の印、山の神舞〔VIDEO〕の不動心印、その他口伝の秘法には金剛合掌印、外縛印、内縛印などがある。この他錫杖にその祖型があると思われる採り物のスズキのように、本来祈祷に用いられたものも少なくないのである。また鳥舞などで頭にかぶる鳥甲〔VIDEO〕は呪師がかぶっていたものをよりはなやかにしたものである。山伏神楽の衣装は千早、袴以外は見物人の着物を使うことが多い。これは新しい衣装を着けて舞ってもらうことによって、それに超自然的な力が加わるという信仰にもとづいている。特に産婦の場合は山の神舞の舞人に着けて舞ってもらった着物を身につけるとお産が軽くなるといわれている。三番叟(写真下)や神舞の折に舞人が信者から託された何本ものしごきをタスキのようにかけているのもこうした信仰によるのである。
三番叟




山伏神楽には面をつけて舞うものが多いが、神舞の場合には、面をつけた神の舞と面をはずしての祈祷の舞の二つがくみあわさっている。そして面の舞いにも面をはずした舞いにも、ゆっくりとおだやかな舞い振りを示す

「ねり」と、激しく力強い振りの「くづし」の両方が組み込まれている。山伏自身が神と一体となろうとする即身成仏の思想と、神々を鎮圧しようとする思想の両面が一曲ごとの舞い振りに込められているのかもしれない。



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