1号犬頭蓋骨の上面

現代の小型犬では一般的に外矢状稜の発達がみられません。1号犬の頭蓋骨についても外矢状稜はほぼ頭頂間突起上にのみ認められるばかりです。けれども、側頭線が頭頂間突起の左右両側から発し、途中両側に膨らむことなく放物線状にのびて後眼窩突起に至っている点に、現代の小型在来犬種とは異なる形質的特徴を認めることができます。側頭線は下顎の引き上げに関与する側頭筋の一部が起始する部位に当たりますから、その発達が顕著な1号犬は、小型犬ながらも咀嚼力の強い、逞しい犬であったと考えられます。