年代記・歴史書 | |||
63.ロバート・フェビアン『イングランド年代記』(ロンドン、1516年) | |||
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Robert Fabyan, Newe Cronycles of Englande | ||
ロンドンの仕立屋で市の参事会員であったフェビアンは、自分の日誌をより総括的な歴史叙述へと発展させた。本書はファビアンが'The Concordance of Histories'と呼んでいた、ブルータスのブリテン島上陸からボズワースの戦いまでを扱ったイングランド年代記の、印刷による最初の版である。慶應義塾図書館所蔵本はfol.1を欠いている。『英国著作家列伝』(Illustrium majoris Britanniae scriptorum summarium...,1548)の著者、ジョン・ベイル(John Bale, 1495-1559)によると、本書の初版は聖職者の私財について触れていたためウルジー枢機卿により焼却されたとされるが、真偽のほどはわからない。初版に関しては現存する部数が極めて少ないことは確かである。第2版(1533年)では記述がヘンリー七世の死まで延長されているが、さらに改革派の意図を反映するように改竄された第3版(1542年)を経て、第4版(1559年)ではエリザベス女王の即位まで後世の手で加筆されている。挿絵[1]は、島に上陸して火を囲む軍勢と、森の礼拝堂の弓矢を持つ女性の前に跪く騎士を描いている。
『鵞ペンから印刷機へ』, 19 |
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