西洋古典文学 | |||
49.ウェルギリウス『全集』(ヴェネツィア、1552年) | |||
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Publius Vergilius Maro, Opera omnia | ||
本書はヴェネツィアのジュンタ(Giunta)が印行したウェルギリウスの挿絵入り全集である。本文の周囲をピエトロ・ベンボ(Pietro Bembo)等による注釈が埋め尽くしており、本文中に挿入されている木版画のいくつかは、Johann Gruningerが1502年のストラスブールでの版に使用したものの再利用である。ジュンタはこの版木を1515年の版で初めて使用し、その後、1519、1522、1532-33年の版でも使用している。 各巻の冒頭に挿入されている挿絵は、その巻を構成するエピソードをダイジェスト的に描いている。第5巻への挿絵[1]では、火葬の用意をして剣に身を投げて死んだディドー、アエネーアスの一行が漂着したシチリアの王アケステス、眠りの神に船から突き落とされて命を落とすことになる舵取りのパリヌールスなど、第4巻の終わりから第5巻にかけての出来事が複数描かれている。 第6巻の挿絵[2]では、本文550行目あたりを中心に展開されている、アエネーアスがシビュラに導かれて訪れる地獄の様子が描かれている。地獄の河に囲まれる巨大な城、復讐の女神のひとりティーシポネー、巨人族のティータン、巨人ティチュオス、罰せられるイクシーオン等が描かれている。
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