表彰、イコン、ヒエログリフ、紋章 | |||
37.フォルトゥーニオ・リチェッティ 『ヒエログリフィカ あるいは、指輪貴石における古代の象徴』(パドヴァ、1653年) |
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Fortunio Liceti, Hieroglyphica | ||
フォルトゥーニオ・リチェッティはボローニャで医学と哲学を学び、ピサ、ボローニャ、パドヴァの大学で教えた。数学、哲学、医学、神学の分野で数多くの著作を残し、その博識ぶりはアリストテレス研究から1602年にボローニャ郊外で発見された燐光を発する鉱物に関する論文(Litheosphorus, sive de lapide Bononiensi lucem, 1640)にまで及ぶ。発光石(”lapis illuminabilis”)と呼ばれたその鉱物はおそらく硝酸バリウムと思われるが、このリチェッティの著書はガリレオやキルヒャーの関心を集めた。本書は、この百科全書的な人物が、60の寓意図をめぐってその絵解きをし、教訓的、哲学的、政治的などさまざまな教訓や真理を引き出したものである。寓意図が指輪の石に彫られているのは、リチェッティの鉱物への興味と通じるとも言える。 図[1]はアプレイウスの『黄金のろば』を典拠として、ろばに変身した人間を描いている。ろばは過度の情欲の象徴である。図[2]は活動的生活 (vita activa) と対比される瞑想的生活(vita contemplativa) を、ピュラリス(火の精)の羽をつけた魂の姿で表している。火中を上昇してゆくピュラリスの姿は、魂の飛翔に通じる。 |
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