表彰、イコン、ヒエログリフ、紋章 | |||
30.ピエール・ル・モワーヌ『寓意の技法』(パリ、1666年) | |||
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Pierre Le Moyne, De l'Art des Devises | ||
イエズス会士のル・モワーヌによるエンブレム・ブックの初版で、「標章の小部屋」、「標章の庭」、「王家の標章」、「標章の応用学」(Cabinet de Devises, Jardin de Devises, Devises royales, Devises adoptees)と称される4部からなり、著者によるエンブレムに関する論考も含んでいる。ル・モワーヌは、エンブレムの目的は、普遍的に適応可能な教訓を三段論法よりも説得力のある図像により教え、象徴や図像によって隠された良く生きるための規則を授けることにあると言う。 本書のエンブレムはしばしば対になっており、その教訓的意義は詩文で平易に説明されている。太陽と日時計のエンブレム[1]は、正義と公平さを主題としている。嫉妬という雲は影を作って公平さの邪魔をする。また、太陽は公平に規則正しく時を分配するが、君主が公平であるという評判を得たければ、まず自らが法を守って模範を示す必要があるという教訓がこめられている。強風にあおられる大木のエンブレム[2]では、最初木は強風に耐えているが、次ではそのままそっくり倒れている。一本の枝も損なうことなく倒れた大木は、長年の尽力の末に静かに引退した姿に他ならない。 |
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