エンブレム・ブック
23.フロレンティウス・ショーンホヴィウス『エンブレマータ』(ゴーダ、1618年)

 

Florentius Schoonhovius, Emblemata syoshi.jpg (1610 バイト)

   フロレンティウス・ショーンホヴィウスはゴーダ出身で、ライデン大学で法学博士となった。本書の挿絵はクリスペイン・デ・パッセ(子)(Crispijn de Passe)によるもので、それぞれのエンブレムは、ボエティウス、キケロ、ホラティウス、オウィディウス、セネカなど代表的な古典作家からの引用を数多く含んだ散文の注解を伴っている。展示品はは初版だが、本書は162616351648年にも版を重ねており、マリオ・プラーツによると、発行部数も多く今日でも古書店の目録で目にする機会の多いエンブレム・ブックである。

   最初のエンブレム[1]は、「汝自身を知れ」(nosce teipsum)という古代以来の有名な格言に関するものである。人間は神の似姿に作られ、神が創造した世界を映す小宇宙であるという考えは、肉体としての人間の脆弱さとうつろいやすさを指摘する「現世蔑視」の伝統と共存して、中世以来常に存在していた。このエンブレムでは小宇宙としての人間の荘厳さが、太陽と月に代表される大宇宙に呼応する球体で表現されている。さらにその球体は、人間が被造物の王であることを示唆するように、王権を象徴する宝珠(orb)のかたちをしている。

   詭弁を主題とするエンブレム[2]は、詭弁とは、苦労して蜘蛛の巣のように精密に議論の網を張り巡らしても、風が吹けば壊れてしまう脆いものであると警告している。

 

その他の画像 : [3]

 

     

 

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