エンブレム・ブック | |||
14.ヨアヒム・カメラリウス『植物の象徴とエンブレム』(フランクフルト、1654年) | |||
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Joachim Camerarius, Symbolorum et emblematum | ||
ヨアヒム・カメラリウスは植物学者で医師であり、生地のニュルンベルクに広大な庭園と植物標本を所有していた。本書は全4巻からなり、動植物を中心に全400点のエンブレムを含んだエンブレム・ブックの第1巻である。銅版画を担当した Hans Sibmacher (d.1611)は、繊細な仕事を要求される紋章やレースのためのデザインなどを得意としていたが、その手腕がこの精緻な銅板に十分反映されている。第1巻(初版は1590年)は植物のエンブレム集で、100点の草木、花、果実などの図版から構成されている。その後に刊行された3巻は、それぞれ動物、鳥類と昆虫、魚類と爬虫類を扱っている(初版は1595, 1596, 1604年)。1605年には全4巻を一冊にまとめた版が刊行された。 葡萄のつるが枯れ木に巻き付いているエンブレム[1]は友情を表し、「葡萄のつるが乾いたニレの木に巻きつくように、真の友は死後も愛す」という詩文が付されている。「低いものには従わない」という題辞のエンブレム[2]は、太陽を追うひまわりを描いて、キリストの慈愛に常に心を向けるように諭している。「ペルーの菊」(Chrysanthmeum Peruviana)と称されるこの見事な花は.、ここ数年でどの庭園でも見られるようになったと、エンブレムに付随する解説文に記されている。また、同じ題辞とひまわりの図柄は、スコットランドの氏族(Buchan)の意匠としても用いられている。
その他の画像 : [3] |
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