年代記・歴史書
3.ポリドール・ヴァージル『英国史』(バーゼル、1546年)

 

Polydore Vergil, Urbinatis Anglicae historiae libri syoshi.jpg (1610 バイト)

     イタリア人のポリドール・ヴァージルは、ローマ教皇への献金の代理徴収人として訪れたイギリスで、ヘンリー7世の依頼をうけ、ヘンリーの死後はヘンリー8世の支持を得て英国の歴史を書き、28年かかって完成させた。初版は1534年にバーゼルで刊行されており、本書はその第2版である。本文の最初のページ[1]は木版刷りの装飾枠と挿絵入り頭文字とで飾られているが、こうしたレイアウトは基本的に写本の装飾の伝統を受け継いでいる。欄外の余白を蔦や草花などの文様で埋め、テクストの頭文字を挿絵や文様で飾る装飾法は、15世紀に北フランスやブルゴーニュで製作された時祷書や、15世紀イタリアの彩色写本及びインキュナビュラに一般的に認められる。図[2]は、1470-80年頃にフランスで製作された時祷書の1ページであるが、『英国史』との間に基本的なレイアウトの共通点が認められる。

 

 

     

 

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